若ノ鵬大麻所持事件報道と経過

◆2008年8月18日 (産経新聞より抜粋)
 大麻成分を含んだたばこを持っていたとして、警視庁は18日、大麻取締法違反(所持)の疑いで、ロシア国籍で大相撲間垣部屋の幕内力士、若ノ鵬寿則(としのり)容疑者(20)(本名・ガグロエフ・ソスラン)を逮捕した。警視庁は名古屋場所とそれに続く巡業を終えて自宅に帰ってきた力士の身柄を押さえ、自宅と間垣部屋を捜索。たばこの入手先などを追及する。
 調べでは、ガグロエフ容疑者は19歳だった6月24日午後1時ごろ、墨田区錦糸の路上で、大麻成分を含む乾燥植物片約0・368グラムを所持した疑い。ガグロエフ容疑者が落とした財布の中にあったロシア製たばこに、大麻成分を含んだ植物片が入っていた。「六本木で外国人からもらった」などと容疑を認めており、自宅からは大麻の吸引具も押収された。
 ガグロエフ容疑者は、2代目若乃花が創設した間垣部屋に入門し、平成17年3月場所で初土俵。今年7月の名古屋場所では前頭筆頭だったが負け越した。五月場所中には、敗戦の悔しさから支度部屋の風呂場の棚板をひじ打ちして壊したとして、日本相撲協会の執行部から厳重注意を受けている。


◆2008年8月18日 (時事通信より抜粋)
 大相撲の幕内若ノ鵬(20)が大麻取締法違反容疑で逮捕された事件で、北の湖理事長(元横綱)は18日夜、東京・両国国技館で記者会見し「若ノ鵬が逮捕されたことは一社会人、一力士としてあってはならないこと。ファンの皆さんには申し訳なく残念」と謝罪した。
 理事長は冒頭で若ノ鵬の実名を発表。「事件発生時は未成年であっても幕内の関取。重く受け止めなければならない」と説明した。近く開く理事会で処分を検討するとした上で「厳正に対応しなければならない」と述べた。
 自らの責任については「こういうことのないようにしていくのがわたしの責任」としたが、同協会は時津風部屋で起きた力士死亡事件を受け、再発防止策をまとめたばかり。しかも、現役関取の逮捕という前例のない不祥事とあって、深々と頭を下げ「ショックであり、残念でならない」と絞り出すように話した。


◆2008年8月19日 (産経新聞より抜粋)
 大麻成分を含んだたばこを所持していたとして、若ノ鵬容疑者(20)が逮捕された事件で、警視庁が間垣部屋にある若ノ鵬容疑者の個室から大麻の吸引器具を押収したことが19日、分かった。
 また、自宅から微量の大麻が付いた袋を押収していたことも判明。同課は若ノ鵬容疑者の自宅からも吸引器具を押収しており、自宅や部屋で大麻を吸っていた疑いがあるとみて調べる。また、同容疑者の日ごろの様子などについて、間垣親方ら部屋の関係者からも参考人として事情を聴く方針。

◆2008年8月19日 (産経新聞より抜粋)
 大相撲の幕内若ノ鵬が大麻取締法違反容疑で逮捕された事件で、師匠の間垣親方(元横綱2代目若乃花)は19日、東京・両国国技館を訪れ、北の湖理事長(元横綱北の湖)に謝罪するとともに、若ノ鵬と自身の処分を理事会に一任した。理事会は21日に開かれる。
 間垣親方は報道陣に対し、「理事長には『ご迷惑をおかけしました』といいました」と明かした。親方は弟子を破門する権限を持つが、若ノ鵬の処分については「理事会にお任せします」。監督不行届による自身の責任問題に関しても「理事会に一任します」と述べるにとどまった。

◆2008年8月19日 (時事通信より抜粋)
 日本相撲協会は19日、大麻所持の疑いで逮捕された幕内若ノ鵬(20)と同じロシア出身の力士がいる北の湖、大嶽、阿武松、三保ケ関の4部屋を訪ね、若ノ鵬との交友関係などをただした。5力士全員が自らの大麻所持・吸引は否定したという。間垣部屋については、20日にもほかの力士全員から事情を聴く。
 再発防止検討委員会の友綱副委員長(元関脇魁輝)、秀ノ山委員(元関脇長谷川)によると、先輩格の幕内露鵬は「若ノ鵬には(態度などを)何度も注意してきたが、大麻について疑いを感じたことはなかった」などと答えたという。 

◆2008年8月20日 (産経新聞より抜粋)
若ノ鵬の大麻所持 付け人「気付かなかった」
 大相撲の幕内若ノ鵬が大麻取締法違反容疑で逮捕された事件で、日本相撲協会の友綱(元関脇魁輝)、秀ノ山(元関脇長谷川)両親方は20日、東京都墨田区の間垣部屋を訪れ、若ノ鵬の付け人らから事情を聴いた。
 主な聴取の対象は、若ノ鵬の身の回りの世話をしていた2人の付け人。付け人は若ノ鵬の自宅や部屋にある自室に出入りしていたが、「大麻を吸っていたことには気付かなかった。部屋に吸引器具があっても、どれだか分からない。ロシア人力士以外との交友関係は知らない」などと話したという。
 19日に事情を聴いた若ノ鵬と同郷のロシア人力士に続き、間垣部屋の力士も大麻の所持や使用を否定。心配される角界内の薬物汚染について、友綱親方は「心配ないかなという気がしている」、秀ノ山親方は「これ以上はないと思う」とそれぞれ述べた。

◆2008年8月21日 (時事通信より抜粋)
 大相撲の西前頭筆頭、若ノ鵬 ロシア出身、間垣部屋=が大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕された事件で、日本相撲協会は21日、臨時理事会を開き、同容疑者を同日付で解雇処分とした。
 北の湖理事長(元横綱)は解雇理由を「本人も嫌疑を認めている」と説明した。師匠の間垣親方(元横綱2代目若乃花)については「監督不行き届きで責任を痛感している」として理事辞任の申し出があり、了承した。
 相撲協会には、過去に現役力士が理事会の議決による解雇処分を受けた記録はないという。解雇後は大相撲界に戻ることはできない。理事の辞任も初めて。


◆2008年8月21日 (時事通信より抜粋)
 日本相撲協会は21日の臨時理事会で、大麻所持容疑で逮捕された幕内若ノ鵬(20)の解雇を決めた。師匠の間垣親方(55)=元横綱2代目若乃花=が出した理事辞任願も了承、同親方は1998年から就いていた理事から委員に降格し、大阪場所部長の職も解かれた。
 記者会見した北の湖理事長(元横綱)は、事件について「あってはならないことで本当に残念」と述べた上で、間垣親方の辞任を「自分から辞するのは大変な決意。重く受け止めている」として、これ以上の責任を問わないという。
 同席した間垣親方は「監督不行き届きで大変申し訳ない」と謝罪。若ノ鵬が師匠に無断で相撲部屋内の個室とは別にマンションを借りて生活していたことも、「知らないでは済まないが、知らなかった」と語り、指導不足を認めた。
 再発防止に向けては、生活指導部の伊勢ノ海部長(元関脇藤ノ川)が、外国人力士の指導を徹底するための新たな対策を講じる考えを示した。 

◆2008年8月22日 (産経新聞より抜粋)
 大麻所持容疑による逮捕で、日本相撲協会は若ノ鵬を解雇した。角界のルールブックである「寄付行為」によると、親方や力士の処分を重い順に解雇、番付降下、出場停止、給与減額、譴責(けんせき)と定めているが、現役の関取(十両以上)として初めて逮捕された若ノ鵬の解雇は当然だ。
 師匠の間垣親方(元横綱二代目若乃花)の理事辞任も解雇に次ぐ番付降下にあたり、角界の常識では妥当といえる。北の湖理事長(元横綱北の湖)も、間垣親方の辞任に関して「自分から職を辞するのは大変なことで重く受け止めている」と説明した。
 ただ、世間一般でいえば違和感がある。昨年、関東学院大学ラグビー部の大麻吸引問題では春口広監督が辞任。ラグビー部も長期活動停止となった。一般企業などでも、同様のことが起きれば幹部が何らかの処分を受けるだろう。
 それに対し、間垣親方の自主的な理事辞任だけでは「軽い」との印象はぬぐえない。傷害致死事件で前時津風親方の解雇を決めた昨年10月の理事会では理事、監事、役員待遇親方も減俸となったが、今回は幹部へのおとがめはなし。北の湖理事長も「二度と起こさないようにするのが私の責任」と述べるにとどまった。

◆2008年8月29日 (毎日新聞より抜粋)
 日本相撲協会の再発防止検討委員会が29日、東京・両国国技館内であり、元幕内・若ノ鵬(21日に解雇)による大麻取締法違反事件を受け、抜き打ちでの尿検査実施を検討する方針を決めた。
 力士の麻薬使用を防止するための抑止力としての効果も狙っており、伊勢ノ海委員長(元関脇・藤ノ川)は「早期に前向きに検討したい」と話した。
 協会は、年内に力士を対象としたドーピング検査の試験実施を決めているが、尿検査はこれとは別に実施する方針。再発防止委の外部委員で、協会アンチ・ドーピング委員も務める大西祥平・慶大教授は「簡易の尿検査ならドーピング検査に比べ費用もかからない。実現するのであれば全力士を対象にしたい」と述べた。
 また、若ノ鵬が在籍した間垣部屋については、指導態勢などを再検討するように同部屋が所属する二所ノ関一門に要請した 

◆2008年8月29日 (日刊スポーツより抜粋)
 大麻所持容疑で逮捕された元前頭若ノ鵬の師匠、間垣親方(元横綱2代目若乃花)が29日、部屋の立て直しに向けた同じ二所ノ関一門からのサポートの申し出を断った。
 この日、東京・両国国技館で再発防止検討委員会が行われ、各委員から「師匠が病気療養中の間垣部屋は指導者不在の状況にある。在り方を考えるべき」との声が噴出。伊勢ノ海委員長(元関脇藤ノ川)は、同一門の秀ノ山副委員長(元関脇長谷川)に「一門で話し合いを持ってほしい」と指示。秀ノ山副委員長は会議後、すぐに同親方と連絡を取ったが、同親方は「自分の部屋は自分で見るから大丈夫」と言い、電話を切ったという。

◆2008年9月8日 (読売新聞より抜粋)
 大相撲の元幕内力士・若ノ鵬で、ロシア人のガグロエフ・ソスラン容疑者(20)(解雇)が大麻取締法違反容疑で逮捕された事件で、東京地検は8日、ガグロエフ容疑者を処分保留で釈放した。
 調べに対し、「六本木で外国人から買った」と容疑を認めており、所持量も微量だったことから、不起訴(起訴猶予)になる見通し。
 ガグロエフ容疑者は今年6月24日、東京都墨田区錦糸1の路上で落とした財布の中に、大麻成分を含むロシア製の紙巻きたばこ1本を所持していた疑いで、警視庁に先月18日、逮捕されていた。

◆2008年9月10日 (デイリースポーツより抜粋)
 大麻取締法違反(所持)で逮捕され、日本相撲協会を解雇された元幕内若ノ鵬のガグロエフ・ソスラン容疑者(20)が9日、両国国技館を訪れ、武蔵川理事長らに謝罪と角界復帰を申し入れた。
 協会のルールを定める寄付行為施行細則には「解雇したものは再び協会に帰属することができない」との条文があり、武蔵川理事長に「無理です」と却下された。8日には間垣部屋を訪れたが、元師匠の間垣親方(元横綱2代目若乃花)は不在で、関係者から「部屋には来ないように」と告げられたという。
 実際に訴訟に踏み切るかどうかは「迷惑を掛けたので本人も悩んでいる」(同弁護士)ため未定。元若ノ鵬は「戻りたいです。許してください。まげは切るつもりはないです」と力なく話した。

◆2008年9月11日 (産経新聞より抜粋)
 大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕され、8日に処分保留で釈放された大相撲の元幕内力士、若ノ鵬(20)が11日、日本相撲協会から解雇されたことを不服として、力士としての地位確認などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、元若ノ鵬は平成17年、力士として、同協会に雇用された。今年8月18日、大麻を所持していたとして逮捕され、同月21日に解雇された。
 元若ノ鵬側は「協会の過去の処分例で、私生活上の犯罪行為で解雇した例は皆無。時津風部屋の力士による傷害致死事件でも出場停止にしているだけ。他の事例と比べても極めて厳しい処分で、協会の権利の乱用に当たる」と訴えている。


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